公開日 2025年5月23日 最終更新日 2025年5月24日
なぜ今、ポジションが必要なのか?
私たちは毎日、スマートフォン1台で世界中の情報にアクセスできる時代に生きています。
その情報量は、スマートフォンが普及する前(2000年頃)と比べて、約5倍ともいわれているのです。
また、1日にスクロールするSNSの投稿数は平均300〜500件。
YouTubeには毎分500時間分の動画がアップロードされている。
平均的な人は1日に約34GBの情報を処理していると言われています(アメリカの調査)
SNSのタイムライン、YouTube動画、オンライン広告、メール配信…。
この情報洪水の中で、人々は「誰を選ぶか」をほんの数秒で決めています。
スクロールする指は止まることなく、目に留まるのは一瞬。
その一瞬で「この人だ」と思ってもらえなければ、どんなに素晴らしいサービスを提供していても、存在しないのと同じです。
だからこそ、自分の立ち位置を明確にする「ポジショニング」が重要になってきます。
自分がどんな人で、誰のために、何を提供しているのか。これが曖昧だと、結局誰の心にも響かず、誰にも選んでもらえません。
「みんなに喜んでもらいたい」という優しい気持ちが、実は誰にも届かない原因になっているのです。
ポジションを決めるための3つの差別化視点
ポジショニングを考える時、多くの人が「競合他社と何が違うか」から入りがちです。
しかし、それでは真の差別化はできません。大切なのは、以下の3つの視点から自分なりの立ち位置を見つけることです。
① 誰に届けるか(ターゲットの深堀り)
「30代女性」「経営者」といった表面的な属性だけでは、もはや差別化になりません。
その人のライフステージ、価値観、抱えている悩み、理想とする未来まで深く掘り下げることが必要です。
例えば、同じ「子育て中の女性」でも、こんなに違います:
- 子育て中の起業ママ:時間がない中でも自分の事業を成長させたい。効率性と成果を重視する
- 専業主婦から社会復帰を目指す30代女性:ブランクへの不安を抱えながらも、自分らしい働き方を見つけたい
- キャリアと育児の両立に悩む管理職女性:責任ある立場を維持しながら、家族との時間も大切にしたい
同じ属性でも、こんなに違うのがわかりますよね。
だからこそ、表面的な年齢や性別を超えて、その人の「心の状態」や「人生のフェーズ」まで理解することが、選ばれるポジショニングの第一歩なのです。
ペルソナの設定がいかに大事かがわかりますね。
② 何で解決するか(独自の価値・アプローチ)
似たような内容のサービスは世の中にたくさんあります。
しかし、解決のアプローチ、重視するポイント、約束する変化が違えば、それは全く別の価値になります。
例えば、同じ「売上アップ」を目指すコンサルティングでも:
- 仕組み構築型:「属人的でない売れる仕組み作り」で安定的な成長を実現
- 関係性重視型:「ファンを作る接客術」でリピート率向上を図る
- デジタル活用型:「SNS×動画マーケティング」で新規顧客獲得を加速
同じ「売上を上げる」でも、どこに着目してどうアプローチするかで、全く違うソリューションになります。
あなたが最も効果的だと信じる解決の道筋は何でしょうか?
③ なぜあなたなのか?(信頼される理由・背景)
同じソリューションを提供していても、「なぜその人から学びたいのか」「なぜその人を信頼するのか」が選ばれる決め手になります。
これが「あの人から買いたい」の正体です。
信頼される理由は、あなたの背景や経験に根ざしています:
- 実体験に基づく説得力:「私も同じ悩みを乗り越えたから、あなたの気持ちが分かる」
- 専門性の裏付け:「10年間この分野で結果を出し続けているから、確実な方法を知っている」
- 価値観の共感:「家族を大切にしながら働きたいという想いに共感してくれる」
同じ解決策でも、「誰が言うか」で受け取り方は全く変わります。
あなたがその分野で信頼される理由は何でしょうか?
差別化は"競合比較"ではなく"自分の視点"から
多くの人が陥る罠があります。
それは「あの人と違うことをしよう」「競合より優れたサービスを作ろう」と考えることです。
しかし、この競合比較から始まる差別化は、結局「真似の真似」になってしまいます。
他人の土俵で戦うことになり、自分らしさが失われてしまうのです。
本当の差別化は、自分の内側から生まれます。
あなたの過去の経験、乗り越えてきた困難、大切にしている価値観、培ってきた専門性。
これらから生まれる「自分にしか語れない視点」こそが、真の差別化の源泉です。
例えば:
- 会社員時代にニッチな仕事をして得たスキルや経験
- 特別な夫婦関係や子育てで得た経験
- 自身が病気や挫折を乗り越えた経験
これらは誰にも真似できません。
なぜなら、あなたの人生こそ他の誰にも真似できないオンリーワンだからです。
選ばれるポジションは"作る"もの
ここまで読んで「ではなぜライバルリサーチをするの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ライバルリサーチは、同じ訴求、被っている人がいないかを確認するためです。
同じ土俵に上がるライバルをリサーチしたら、選ばれるポジションは、偶然見つかるものではありません。
意識的に「作る」ものです。
つい先日もクライアントのポジション決めで提案したかった言葉があるのですが、ライバルがその言葉を使っていたのです。
諦めて別な言葉を提案しました。
もしライバルリサーチをせずに決めていたらもろ被りでした(笑)
ライバルと比較してライバル視するためのライバルリサーチではありません。
ライバルと自分の違いを見つけて、ポジショニングをする。
それは、あなたが歩んできた道のり、乗り越えてきた経験、大切にしてきた想い…その全てが、あなたの強みを形作っています。
次の記事では「その強みをどう言語化するか」を考えていきましょう。
自分では当たり前だと思っていることの中に、実は他の人にとって価値ある視点やアプローチが隠れています。
あなたらしいポジションを見つけて、「この人じゃなきゃダメ」と言ってもらえる存在になりませんか?