公開日 2025年5月8日 最終更新日 2025年5月8日
起業初期に「ライバルをリサーチしましょう」とお伝えすると、"憧れの人"や"目標としている人"の名前を挙げる人がいます。
でも実は、それは「ベンチマーク」であって、「競合」ではないんですよね。
ポジショニングのために必要なのは、「かぶらない」ためのライバル調査。
つまり、検索結果やSNS上で、自分と同じような商品・サービスを提供している"競合"を見つけて、差別化ポイントを見つけることなのです。
この記事では、よく混同されがちな「ライバルリサーチ(競合調査)」と「ベンチマーク」の違い、そしてオンリーワンのポジションを取るために必要なリサーチの視点について解説します。
ライバル調査とベンチマークは混同されやすい
ビジネスを始める際、必ず行うべき「ライバル調査」。しかし、多くの方が「ライバル」と「ベンチマーク」を混同しています。
この違いを理解することが、独自のポジションを確立する第一歩です。
ライバル調査="現実に競合している人"を見つけること
ライバル調査とは、あなたと同じターゲットに似たサービスを提供している人や企業を調べることです。
あなたのサービスを検討しているお客様が「こちらにするか、あちらにするか」と比較する対象です。
つまり、実際にあなたのビジネスと「お客様の獲得競争」をしている相手を調査するのがライバルリサーチです。
ベンチマーク="目標として参考にする人"
一方、ベンチマークは、あなたが「こうなりたい」と思う理想像や目標とする存在です。
必ずしも今のあなたと直接競合しているわけではなく、ビジネスモデルや成功事例として参考にする対象です。
この2つを混同すると、ポジショニングがズレる
「私のライバルは〇〇さんです!」と言いながら、実は業界トップクラスの有名人の名前を挙げている方がいます。
しかし、その有名人と同じポジションを目指しても、すでに確立されたポジションには入り込めません。
本当に必要なのは、あなたと同じ土俵で戦っている競合を見つけ、その中でどう差別化するかを考えることなのです。
ライバルリサーチとは?
検索エンジンやSNSで「自分と似たサービス」を探す
ライバルリサーチの基本は、お客様の視点に立つことです。
あなたのサービスを探している人は、どんなキーワードで検索するでしょうか?
実際にそのキーワードで検索してみると、どんな人や企業がヒットするでしょうか?
また、SNS内で検索をすると、同じ領域でどんな発信者がいるでしょうか?
これらの検索結果に出てくる人々が、あなたの「現実のライバル」です。
言葉を変えて検索しても出てくる人が「真のライバル」
その人たちは、あなたと同じお客様の目に触れる可能性が高い存在ということですね。
キーワード・肩書き・投稿内容・価格帯・対象などを比較
ライバルが見つかったら、以下の点を詳しく調査しましょう:
- 使用しているキャッチコピー:どんな言葉で自分のサービスを表現しているか
- 売りや強みと感じたところ:どんなポジションを取っているか
- ターゲット層:どんな顧客層に向けてサービスを提供しているか
- 商品構成や価格:どのような商品をどんな価格設定で販売しているか
- ウイークポイント:〇〇をやっていない、××がない、説明がわかりにくいなど
- あなたが取れそうなポジション:ライバルの強みがわかったポジションは狙わない。数いるライバルの中で「〇〇に強い人」がいない場所を考えてみましょう
「似ているけど少し違う人」「同じ土俵に立つ人」を見つけるのが大事
完全に同じ内容のサービスは存在しないですよね。
必ず何かしらの違いがあります。
この「少しの違い」こそが、あなたの差別化ポイントになる可能性があるのです。
例えば、同じコーチングサービスでも、「短期集中型」と「長期伴走型」、「初心者向け」と「中級者向け」など、微妙な違いがあります。
このような違いを見つけることで、「〇〇に特化した△△コーチ」というようなニッチなポジションを確立できるのです。
ライバルリサーチをせずにポジションを決めてしまうとどうなるか。
例えば「元〇〇」を差別化ポイントとしたのに、他にも「元〇〇」がいたら差別化にはなりませんよね。
何度も検索エンジンやSNSで検索して、同じ土俵に立ちそうなライバルを探してください。
ベンチマークとは?
憧れの存在・理想の将来像・ビジネスモデルの参考
ベンチマークとは、あなたが「将来こうなりたい」と思う理想像です。
業界のリーダーや成功者、あるいは異なる業界でも参考にしたいビジネスモデルなどが該当します。
その人たちからインスピレーションを得て、自分のビジネスに活かす視点を持つことは非常に重要です。
自分が今すぐ競合する相手ではない
重要なのは、ベンチマークは通常、あなたと直接競合していないということです。
規模や知名度、ターゲット層が異なることが多く、お客様があなたとベンチマーク対象を同時に比較検討することはあまりありません。
例えば、個人でお洋服を作り始めたばかりの人が、「ユニクロ」をライバルと考えるのは現実的ではありません。
「シャネル」をライバルとするのも違いますよね。
現段階では、同じ商圏でお洋服を作っている人との差別化を考える方が効果的です。
見習う点はあっても、真似してはいけない理由
ベンチマークから学ぶことは多いですが、単純に真似をするだけでは意味がありません。
なぜなら、その人たちはすでに確立されたポジションを持っている可能性が高いですし、あたには、その人たちとは異なる強みや背景があります。
また、市場環境や時代背景が異なる可能性がある
真似るべきは「考え方」や「プロセス」であって、表面的な要素ではないのです。
ポジショニングのために必要なのは「競合分析」
ベンチマークの真似では差別化できない
ベンチマークを目標にするのは良いことですが、彼らの真似をしても差別化はできません。
すでに確立されたポジションに後から入り込むのは、非常に困難だからです。
同ジャンルで今すでに売れている人と比較して
真の差別化は、あなたと同じレベルで競合している人々との違いを明確にすることから始まります。実際に:
- 誰に:ターゲットをより具体的に絞り込む
- 何を:提供する価値をより明確に定義する
- どう伝えるか:独自の表現方法や切り口を見つける
これらを工夫することで、「〇〇なら~~さん」というようなオンリーワンのポジションを作れます。
差別化のヒントは"今いるライバル"の中にある
実は、差別化のヒントは現在のライバルを分析する中に隠れています。
その人たちが提供していないもの、その人たちがカバーしていない領域こそが、あなたのチャンスなのです。
競合が「マニュアル化された対応」なら、あなたは「完全カスタマイズ」を
競合が「ビジネスパーソン向け」なら、あなたは「主婦・主夫向け」を
このように、現在のライバルの隙間を見つけることが、差別化の近道なのです。
まとめ|憧れの人ではなく、今同じ土俵に上がる人を見つけよう
ベンチマークは"指針"、ライバルは"対策"
ベンチマークとライバル、どちらも重要ですが役割が異なります。
ベンチマークは長期的な目標や指針を示し、ライバルリサーチは現実的な差別化戦略を立てるためのものです。
この2つを混同せず、それぞれの役割に応じた分析を行いましょう。
ポジショニングには、検索と分析が必要
効果的なポジショニングには、実際に検索エンジンやSNSで「お客様の視点」から検索し、現実のライバルを見つけ出す作業が欠かせません。
そして見つけたライバルを徹底的に分析し、自分との違いを明確にしていくのです。
オンリーワンのポジションは「誰の代わりでもない自分」を見つけること
最後に、最も大切なのは「あなたならではの強み」を見つけることです。
あなたの経験、価値観、スキル、人柄——誰にも真似できない要素を組み合わせることで、オンリーワンのポジションを確立できます。
ライバルリサーチを徹底して行い、あなただけの市場での立ち位置を見つけてくださいね。
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