公開日 2025年12月10日 最終更新日 2025年12月10日

「高いと売れない」…その不安はどこから来る?
高額な値付けに対する"怖さ"の正体とは
商品やサービスに価格をつけるとき、心の中で「こんなに高くしたら誰も買ってくれないのでは」という声が聞こえてくる。
そんな経験はないでしょうか。
この不安の正体は、実は「拒絶されることへの恐れ」です。
コンサルを受ける前「私に高額商品なんて作れる気がしません」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
一緒に作るとできるのですが、これまで高額商品を販売したことがないのであれば、怖いのは当然です。
そして、「この価格では売れませんでした」という結果を、多くの人は「自分の価値が否定された」と受け取ってしまいます。
商品が売れなかったのではなく、自分という人間が拒絶されたような気持ちになるのです。
特に、自分のスキルや経験を商品化している場合、価格への反応がそのまま自分への評価に感じられてしまうのは自然なことです。
しかし、冷静に考えてみれば、商品が売れなかった理由は無数にあります。
タイミング、伝え方、ターゲット設定、見せ方、信頼関係の深さ…。価格はその要素のひとつに過ぎません。
にもかかわらず、私たちは「高い価格をつけた自分」を責めてしまうのです。
高額にすると「売れなくなる」と思い込んでいないか?
「高額商品は売れない」というのは、多くの起業家や個人事業主が抱える共通の思い込みです。
しかし、世の中を見渡してみてください。
高額な商品やサービスは至るところに存在し、確実に売れています。
高級ブランドのバッグ、高級車、注文住宅などなど。
数十万円のコンサルティングやコーチング、百万円を超える研修プログラム。
これらはすべて「正しい構造」と「価値の伝え方」があるからこそ成立しているのです。
問題は価格そのものではありません。
その価格に見合った価値を、お客様が理解できる形で提示できているかどうか。
そして、あなた自身がその価値を心から信じているかどうか。
ここに本質があります。
安くすれば売れるというのも、また幻想です。
安い商品には「安いなりの理由がある」と疑われることもあれば、「本気度が低い人が集まる」という別の問題を引き起こすこともあります。
価格設定とは、単なる数字ではなく、あなたのビジネスの在り方そのものを示すメッセージなのです。
お客様は「金額」で買っていない
人は"期待"にお金を払う
ここで重要な事実をお伝えします。
お客様は商品そのものにお金を払っているのではありません。
お客様が本当に購入しているのは「これで変われるかもしれない」という期待、希望、未来のイメージなのです。
たとえば、ダイエットプログラムを購入する人は、プログラムの内容そのものではなく「理想の体型になった自分」「自信を持って洋服を選べる未来」を買っています。
ビジネスコンサルティングを申し込む人は、コンサルティングの時間ではなく「売上が上がった状態」「経営の不安から解放された日々」を手に入れようとしているのです。
つまり、金額が高いか安いかの判断基準は、絶対的な数字ではありません。
「この投資で得られる変化」と「支払う金額」を天秤にかけたとき、変化のイメージが鮮明で魅力的であれば、人は驚くほど高額な投資も決断します。
お客様の懐具合を心配するのはやめましょう。
あなたが値付けで悩んでいるとき、本当に考えるべきは「この商品でお客様にどんな未来を届けられるのか」です。
その未来が明確で、説得力があれば、価格はむしろ「それだけの価値がある証」として機能するのです。
価格よりも大事なのは"説得力"と"安心感"
もうひとつ、見落とされがちな真実があります。
それは「売る側の不安は、確実にお客様に伝わる」ということです。
あなたが価格を伝えるとき、心の中で「高いかな」「これで買ってくれるだろうか」と不安に思っていると、その気持ちは声のトーン、表情、文章の端々ににじみ出ます。
お客様はその迷いを敏感に察知し、「この人自身が自分の商品を信じていないのでは?」と不安になるのです。
人は不安な人からは買いません。
どんなに商品が良くても、提供者が自信なさげであれば「本当に大丈夫だろうか」と疑念を抱きます。
逆に、価格を堂々と、当然のこととして伝えられる人には説得力が生まれます。
「この価値があるから、この価格なのです」と自信を持って言える姿勢が、お客様に安心感を与えます。
価格を正当化する必要はありません。
ただ、あなた自身がその価格に納得していること。それが何よりも重要なのです。
「怖い」気持ちを乗り越える3つのステップ
① お客様の未来を明確に描く
価格への不安を乗り越える第一歩は、あなたの商品がもたらす変化を、あなた自身が明確にイメージすることです。
お客様がこの商品を手にしたあと、どんな気持ちになるでしょうか。
どんな行動が変わり、どんな結果を手にするでしょうか。
そして、その先にどんな人生が待っているでしょうか。
この未来像を、まずあなた自身が心から信じることです。
「本当にこれで変われるのだろうか」という疑念があるうちは、どんなに営業トークを磨いても、価格を下げても、お客様の心は動きません。
自分の商品を通じて届けられる未来を信じること。それが価格への自信につながり、お客様への説得力になります。
② 自分の商品に自信を持つための小さな成功体験を積む
実績ゼロの状態で高額商品を売るのは、誰にとっても不安です。
それは当然のことであり、恥ずかしいことではありません。
もちろん私だって実績ゼロから始めていますし、始めはメチャメチャ怖かったです。
だからこそ、最初は小さく始めることが大切です。
モニター価格で提供してもいいですし、信頼できる知人に体験してもらうのでもかまいません。
大切なのは「この商品で誰かが変化した」という事実を、まずひとつ作ることです。
たったひとりでも変化をもたらすこと、「ありがとう」と言ってもらうこと。
それができたら、あなたの商品に価値がある証拠です。
その小さな成功体験を次の一歩につなげていけばいいのです。
実績は後からついてきます。
まずはモニター価格でいいので、目の前のひとりに、全力で価値を届けてみてください。
③ 怖いまま出す。そして改善する
最後に、最も重要なことをお伝えします。
それは「完璧を待たずに、怖いまま世に出す」ということです。
最初から完璧な商品など存在しません。
どんな名だたる企業の商品も、最初はシンプルな形でリリースされ、お客様の反応を見ながら改善を重ねています。
あなたが「まだ完璧じゃないから」と出し惜しみしている間に、時間だけが過ぎていきます。
完璧主義は、実は恐れの裏返しです。
「完璧じゃないから出せない」ではなく、「怖いから出したくない」のが本音ではないでしょうか。
怖いのは自然なことです。
その恐怖を抱えたまま、まずは世に出してみる。反応を見る。
改善する。このサイクルを回すことでしか、本当に売れる商品は生まれません。
失敗ではなく、学びだと捉えましょう。
まとめ:「高くて売れない」のではなく、「伝えきれていない」だけ
ここまで読んでくださったあなたに、最後にひとつだけ覚えておいてほしいことがあります。
それは、売れるかどうかは価格ではなく、"届け方"にあるということです。
あなたの商品には価値があるはず。
その価値をお客様に伝えきれていないだけなのです。
価格の壁を越えるために必要なのは、商品設計のテクニックではありません。
あなた自身が、自分の提供する価値を信じ、堂々と伝えられるようになることです。
「高いから売れない」という思い込みを手放してください。
正しい価格とは、あなたが提供する価値に見合った、あなた自身が納得できる価格です。
その価格を胸を張って提示できるようになったとき、お客様もまた、あなたの商品に投資する決断をしてくれるでしょう。
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