公開日 2024年10月13日 最終更新日 2024年10月16日
SNSやブログで発信をしていて、何かしらの募集をしているけど「まだ起業していません」と言う人がいます。
「起業する=開業届を出す」になっていて、「開業届を出さなければ確定申告は不要なのではないか」と考えるようです。
また、「まだ儲かっていないから」と開業届の提出を躊躇する人もいますが、実はこれらの考えは正しくありません。
本記事では、開業届と確定申告の関係性、確定申告が必要となる条件、そして早めに開業届を提出するメリットについて詳しく解説します。
1. 開業届と確定申告の関係性
開業届の目的と提出先
開業届は、個人事業を始める際に税務署に提出する書類です。
事業開始日から1ヶ月以内に提出することが求められています。
主な目的は、税務署に事業開始の旨を知らせることです。
確定申告の基本的な仕組み
確定申告は、1年間の収入と経費を計算し、納税額を確定させる手続きです。
通常、毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。
開業届と確定申告は別の手続き
重要なのは、開業届と確定申告が別な手続きであるということです。
開業届を出していないからといって、確定申告の義務がなくなるわけではありません。←ここ大事
2. 開業届を出さない場合の確定申告の必要性
収入額による確定申告の義務
確定申告が必要かどうかは、主に年間の収入額によって決まります。
例えば、年間の事業所得が103万円を超える場合は、原則として確定申告が必要となります。
医療費が高額になったり、遺産相続などでも確定申告しますよね。
開業届とは関係ないのです。
開業届の有無に関わらず確定申告が必要
副業や個人事業主としての収入も、確定申告の対象となります。
たとえ本業が会社員であっても、副業収入が一定額を超えれば確定申告が必要です。
主婦が事業収入を得た場合も確定申告の対象となります。
開業届を出していなくても、収入が一定額を超えれば確定申告の義務が生じます。
つまり、開業届を出していないからと、事業収入があるのに確定申告をしないのは脱税になる可能性もあります。
3. 開業届と確定申告に関する注意点
開業届を出すメリット
開業届を提出することで、青色申告の適用を受けられるなどのメリットがあります。
最高で65万円の控除を受けられるのです。
以前は白色申告のメリットもありましたが、今は白色申告にするメリットはなくなりました。
青色申告をするには、手続きが必要なので開業届を出す際に一緒に手続きをしておきましょう。
早めの開業届提出がおすすめな理由
「まだ儲かっていないから」と開業届の提出を遅らせる方がいますが、これは賢明ではありません。
むしろ、早めに開業届を出すことをおすすめします。
その理由は、事業開始3年分の赤字を繰り越すことができるからです。
事業開始時は経費が先行し、赤字になることが多いものです。
この赤字を3年分繰り越すことで、将来の黒字と相殺し、税負担を軽減できる可能性があります。
しかし、開業届を出していないと、この赤字の繰越が認められません。
したがって、たとえ現時点で利益が出ていなくても、将来的な税務メリットを考えると、早めに開業届を提出することが賢明です。
開業届提出に伴う社会保険への影響
開業届を提出する際は、社会保険への影響も考慮する必要があります。
開業届を出すことで、以下のような変更が生じる可能性があります。
- 扶養から外れる可能性:収入が一定額を超えると、家族の健康保険の被扶養者から外れる場合があります。
- 会社によっては開業届を出すだけで扶養から外れる場合があります。
- 社会保険料の負担:個人事業主として国民健康保険や国民年金に加入する必要が生じ、保険料を自己負担することになります。
実は、私が開業届を出したことで、扶養から外されました。
まだそんなに収入がないにも関わらず、年金と保険料を自分で支払わなくてはならなくなり、非常にキツかったです。
中には納税できるまで扶養にしてくれる会社もあるようです。
会社によって違うようですので、現在扶養の方は、世帯主の健康保険組合にご確認ください。
確定申告を怠った場合のリスク
確定申告を行わないと、追徴課税や加算税などのペナルティを受ける可能性があります。
また、将来的に税務調査の対象となるリスクも高まります。
インターネット上で目立つと調査の対象になりやすいと言われています。
募集をしている、「満席になりました」と発信をしているのに税金を納めていないなど見られていますよ。
適切な税務管理の重要性
もし、どうしても開業届を出したくない理由がある場合、せめて帳簿はちゃんとつけておきましょう。
領収書なども保存が義務付けられている期間は保存しておいてください。
万が一税務調査が入ったときに、確定申告しなくていい収入であることを証明するためです。
口頭で「儲かってなかったから確定申告しませんでした」は通用しないということですね。
個人事業主として活動する以上、適切な税務管理は不可欠です。
収入と経費の正確な記録を付け、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
開業届の提出有無に関わらず、一定以上の収入がある場合は確定申告が必要です。
また、「まだ儲かっていない」からといって開業届の提出を遅らせるのは得策ではありません。
早めに開業届を提出することで、赤字の繰越など、将来的な税務メリットを得られる可能性があります。
開業届と確定申告は別の手続きですが、適切に提出することで税務管理がスムーズになり、様々な恩恵を受けられる可能性があります。
個人事業主として活動する際は、税務に関する正しい知識を持ち、適切に手続きを行うことが重要です。
開業届を出すことで、事業者としてのスイッチも入るので、早めに開業届をだしてくださいね。
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